旅の始まりは突然に!イギリス・アイルランド2週間旅日記スタート。出発編!
久しぶりの旅日記です。
2日前の11月9日、今回の旅がスタートしました。9日から28日帰国の20日間(滞在は18日間)のまあまあな長旅。
ちなみに今回は初めてのヨーロッパ旅であるにも関わらずチケットを取ったのは出発の約2週間前。
スカイスキャナーでとりました。
中華系エアライン&経由時間が長いからか安かった。
働きながらちょっとずつ準備をするも、いつも通りやっぱり計画は行き当たりばったり、
こんなに遠い国に行くのに結構な余裕かましてるのには自分自身にびっくりw
コロナ前の2019年、インドに1ヶ月バックパッカーしたときに何も日記を残さなかったので今回はできるだけ旅日記を現地から書いてみようと思う。
あと、スコットランドやアイルランドはロンドンに比べて情報が少ない上に古いので自分が更新することで何かの役に立てればうれしいな。
今日は日本からロンドン到着まで書いていこうと思う。
出発の前に・・実は自分の人生が全て中途半端で自分自身が全て打ち砕かれるような出来事があった。
何もやり抜いたことなんかないし全部行き当たりばったり。決めてるようで何も決めてない人生の結果がこれ!何も得てない!自虐モードから抜けれないまま異国にいるという・・。
思い出しては涙が溢れる。。失恋したような心の空洞を抱えながら、ロンドンなう!辛い!
さて出発当日。フライトは16時半と遅めなので朝も荷造りチェック。ギリギリまで荷造り。
空港までは順調でフライトを待っていたところ、一席挟んだ向かい側の女の子に英語で声をかけられる。
いすについてる充電器が使えないんだけど、他に使えるところ知ってますか?
うーん、スタッフじゃないからわかんないなぁ。と思っていたら日本人ですか?と聞かれ日本語話す方が得意と言われ日本語での会話に。
イタリア人のアナは京都でインターンをしていて、学校を卒業するために母国に帰るらしい。が、本当は前日だったフライトに乗り遅れて空港周辺のホテルをとり、再度朝から空港にいると言う。
しかもぱんぱんのリュックサックに、またパンパンに物が入った手提げカバンを持っていてる。
なんかタンブラー二個とか、日本で買った重そうな本が3冊くらい入ってたり・・。
なんで預け荷物にしなかったのかも謎(笑)
反対に私は今回の約3週間のヨーロッパ旅、バックパック1つで来た。
こんなに荷物が少なくていいのか?とも思ったが、これが大正解だった。
なぜリュック1つにしたかと言うとロストバゲージのリスク回避と、荷物を待たなくていい、両手が空くのがいいと思ったから。あとミニマリストの旅人のYouTubeを参考にしたらみんなマジでバックパック1つだったのでそれでいこうと思った。
4500円と安いし軽いし普通に使いやすい。
さて、まずは上海を目指すわけだが早速1時間、2時間の遅延。
この時間を利用して、私はホテルや電車のチケットをとったり、自身のSNS配信の台本を作ったりしていた。
空港での時間はなぜかあっという間に時間が過ぎていく。
明らかにぐったりしたアナを時々慰めながら、日本語学習なので私もうれしくなり、適当に話したりしてた。あっという間に登場時間になった。
周りはほぼ中国人。
いつも通り、中国人に見られ全部中国語で話しかけられる。
行きの機内食。なぞの日本風の弁当箱にサンドイッチ。この箱をお持ち帰りしている欧米人客を見た。
到着してから、ロンドンとイタリアのミラン行きの乗客は別に集められそこでまたパスポートを見せて手続きしたり、また入国審査があったりと結構待たされた。
アナは日本の小説を見せてくれた。明らかいらない手荷物おおすぎる。
日本の映画が好きだそうで、黒澤明の映画を見たこと無いと言ったらびっくりしていた。
外国人が思う日本人なら見てるはずのもの、見てないんだよな…。
トランジット客を集める中国人のにいちゃんが叫んでいたがこれは別に叫んでるわけでなく中国のデフォルトなんだろうなと思った。
空港内のゲートに入れた頃は中国時間の午後9時半頃だっただろうか。
私はラウンジ利用するためのプライオリティパスを準備してたのでラウンジにいき、アナとは別れた。明らかにぐったりしてるのでもう日本語で話すのもしんどいかな、と思った。
上海のラウンジはたくさんの人がいた。
軽食や飲み物、カップラーメン、おつまみがあった。
ブッフェぽいものはもうなかった。
上海ビール。まあまあ。ワイン。あんまおいしくなかった。
ラウンジは23時までだったので、追い出されてからはベンチでポッドキャストの収録をしていた。
眠かったけど寝たらもったいないから何とか耐える。
飲食店は23時半頃までにはほとんどが閉店していた。もう少し深夜も開けてくれるとありがたいなぁ。
長いなぁと思いながらもなんだかんだで定刻通りの搭乗時間。
行きが2時間ほど遅れてそこからの遅延はなかったので結局6時間くらいの待機だった。
登場してしばらくしてから、ご飯はこんな感じ。
塩気のきいた焼きそば。たしかご飯系と選べた。たけのこの副菜とあんぱんという謎の組み合わせ。ブレた。
とりあえず与えられたものを食す。
さあ、これから寝るぞ!寝るためのとっておきのものを持ってきた。
ベトナムで買った酔い止め薬。
これ、日本のもの以上に睡眠作用が強力で飲むとすぐに眠くなる。
睡眠不足と食べ物、また酔い止めの作用で気づいたら寝ていた。
数時間後目覚める。隣の中国人のおばちゃんが2席使って寝ていたので真似して私も2席使って横になって寝る。やっぱり横になると結構眠れる。
あ、あと携帯スリッパ持ってきて正解だった。
なんとなく電気がついてまたご飯の時間に。
朝ごはんだった。
朝ごはんは洋風で、まあまあ美味しかった。朝が一番美味しかったかも。
んで1時間くらいnetflixを見てたらロンドンに到着。
ワクワク感も特になく?実感がないまま着いたと言う感じ。
ただ、飛行機を出た瞬間、周りは西洋人たち、背の高い、男も女も体格のいい人たちに周りを囲まれやっと異国に来たんだなあとぼんやり感じた。
次はガトウィック空港から宿に移動編。
新日本プロレス神戸大会9.24観戦日記前編
昨年の神戸大会で初めて実地観戦デビューしましたが、また1年後同じ場に戻ってきました。今回は知り合いの方にチケットをとってもらった関係でなんと2列目で観戦。
ビッグマッチで前の席って最高ですね。
今回は実際に見に行った感想を自分なりに書きたいと思いますが、ファン歴1年の浅い知識なので技やテクニックについては詳しくかけません。
この試合のために出稼ぎ先から神戸に戻ってきてたのですがイマイチテンションが上がらず、気分が塞ぎ込んでいて困ったものでした。
しかしチケットを受け取り会場の椅子に座った瞬間、少しずつ気分が高揚してきました。
今回はプロレスファンのお知り合いのに久しぶりに挨拶できたり、Twitterで繋がった、しかも同業の方に会えてうれしかった。
こういう交流は初めてでしたが、意外に面白いもんなんだなと思いました。
さてほっこりした気持ちで席に着くとなぜか急に緊張してきました。
リングが近い。中嶋くん、オスカー、ボルチンもすぐそこにいる・・。
そうこうしてるうちに4時。
第一試合。推しの一人、ケビンナイト登場。
特別活躍はなかったけど、彼のプロレスを見るとポジティブで明るい気持ちになれるからすき。
少しずつ認知度が上がってきたのか、ケビンへの声援も増えて婆はうれしかったです。
対戦相手のクラークはバレクラ入りしてから垢抜けてかっこよくなったと思うのでヒールターンしてよかったなと思う。
モロニーはよくわからんのでノーコメント。
第三試合。元バレクラVS新バレクラの乱れ打ち。
10人もいるからなにがなんだか・・。
ELPが好きなのでカメラをかまえるがあとから見るとまた全部ブレブレ。
ELPはボードやタオルを持っているファン一人一人にメンションしたり、シャッターチャンスを与えたり、サービスが良い。
あとバレクラ時より目つきがちょっと優しくなった気がする。
ただ個人的にはバレクラ時のズモのがカリスマ性があってかっこよかったかな。
関係ないが、髪の色が思ったよりどぎついピンクだった。(5月ごろはもっときれいなベビーピンクだった気が)
しかしこの試合、個人的にゲイブに釘付けだった。
ゲイブがELPを思い切り殴った時の鈍い音、コーナーに打ちつけたときのカン!という音がはっきり聞こえた。
前の方にいると、こういう、人を殴る時の重たい音や、マットの音を体中に感じられるのがいい。
気づいたら目がイっちゃってるゲイブが鉄柵から出て私の目の前にいた。
すぐに戻ってくれたのでよかったが、それは近くに子どもたちがいたからだろう。
東側の最前列に小さい女の子が数人いたのだけど、(プロレスなんて興味あるんだろうか)その子達が気になるのか、彼は鉄柵を揺らしたり威嚇したりして、ずっとうろうろしてた。
ゲイブ、いっしょに遊びたいんだな。かわいい。。
個人的には彼がリーダーになってくれたら面白いと思ってる。
第五試合。
最推しザックんの登場。
後楽園に行った時に初めて作ったオレンジのボードとTMDKのタオルを準備。
タオルは隣の若い男子に持ってもらう様お願いしたら快く引き受けてくれ、選手を惹きつけるために振ってくれたりしてうれしかった。
ザックはあまりファンに目線をやらないしあからさまにサービスしない。
でもサイン会の時はすごく気さくな兄ちゃんって感じ。そこがいい。
一度サイン会時にボードを見せた時、試合中にリング上でハンドサインをいただいたことがあるが、それは彼の中でデフォルト対応じゃないことを後に知った。
ザックとティトはこちらをちらっと見ただけだったけど、脳に私のボードが記憶されただけでもうれしい。
ザックは目の前のコーナーポストにずっと留まってくれたので、彼の全身とケツを眺めながら試合をみるという至福の時を味わえた。
2列目だと体毛も確認できるくらい近い。(キモい。)
ザックんありがとう・・。
ティトとの連携もばっちりで(多分)通常通りの極悪非道な関節技を繰り広げてました。
個人的に相手の首をくるんってひねる技(名前わからん)が大好き。
後半につづく。
今更レポ!初の両国国技館観戦&G1クライマックス33の決勝戦
おまつです。
もう8月も終わろうとしてますね。
この間、初めて両国国技館でG1を見に行ったのでその時のレポを思い出しながら書きたいと思います。
ちなみに私はプロレスファンですがテクニック的なものは何一つ語れないのであしからず。何かしらの技とかのカタカナを覚えるのは早いです。時々レスラーをいやらしい目でみます。
G1 CLIMAX(ジーワン・クライマックス)は、新日本プロレス主催のヘビー級選手によるシングルリーグ戦。 新日本プロレスで開催される最大級の大会であり、「真夏の祭典(まなつのさいてん)」として全国的に知られている。出典:
このG1、最初から一応見ていたのですが、予選はほとんどがシングルマッチ。
これが結構見ていてヘビーでした。
ほとんどが真剣試合で、選手もだんだん怪我を負ったり、体力的、メンタル的にもきつそうなのが見てる側も伝わってきて、なかなか見るのに疲れるもんなんだなと思いました。
そして、両国大会。
準決勝と決勝戦を見に行きました。
別に決勝を見たかったわけではなかったのだけど、地方のチケット優先期間を逃してしまい両国しか選択肢がなかったので、両国に行った、というドライな理由です。
エディと撮影会
新日本はファンクラブ会員限定で、レスラーと写真撮影会に参加できるのですが、両国はなんと抽選制。12日だけ当たっていたのでこの日だけ参加したのですが、なんとAEWのエディキングストンと撮影できることになりました!
見た目おっさん。ぽっこりお腹。人を殺りかねない鋭い眼光。
でも日本のプロレス愛が深く、演技なしの素直なコメントがBBAの心を捕えました。
なんか、かわいらしいおじさんなんですよね。
AEWの選手と写真を撮れる機会もないし、個人的にめっちゃうれしかった。
並んでるのはプロレスファンの男性陣とオーバー40以上の女性、あとは子どもたち。若い女子はほぼみなかったので、エディのようなおっさんレスラーは興味ないんでしょうね。(失礼)
並んでいたところに隣の外人から香水の匂いがする。。と思ったらエディが普通に我々が並んでるところから入ってきました。
エディは女性と子どもはもれなく肩を抱き寄せてくれ、めっちゃ密着して写真を撮ることができました。ちなみにエディは普通の一般的な外国人の匂いでした。
(もっと汗臭いのを期待してたので残念。)
この密着、日本人女性(特にアラフォー以上)は皆うれしそうでした。
久しく男と密着することもなかったので私も例に漏れずうれしかった。
でも写真撮影のあとの自分の顔を見るのはめちゃくちゃ嫌です。
なんか爪痕を残そうと思って、エディが武道館で試合をすることが夢とインタビューで言ってたので
「武道館ですぐに試合ができることを祈ってます」みたいなことを英語で言いました。
蚊の鳴くようなくそちっさい声でしたがエディはThank youと言ってくれました。多分聞こえてなかったけどとりあえず言ってくれた感じです。
枡席での観戦と異常な声援
12日の準決勝は枡席の2人掛け、13日の決勝戦は枡席の4人掛けでした。
枡席の小ささとかよくわかっておらずとりあえず取ってしまったのですが、
枡席の4人掛けは絶対にやめた方がいいよ!とプロレスに詳しい人に言われたのはチケットを取ったあとでした。
2人掛けの隣は内藤さんのコスプレをした女性(ファンの間では有名な人なのかも?)
4人掛けは男性に囲まれての観戦でした。
2人掛けは足も伸ばせるし背中ももたれられて、まあまあ快適でした。
もたれてもリングは肉眼で確認できるし。
おしりはめちゃくちゃ痛いと聞いてましたがそれほどでもなく、座布団があれば尚いいって感じかな。
ただ、後ろのおじさんの声がデカすぎて耳が痛かったので途中からイヤホンをつけました笑。
両国という場所がそうさせるのか、G1というこのトーナメントがそうさせるのかはわかりませんが皆さん普段の憂さ晴らしをするが如く叫んでるのでちょっと怖かったです(笑)
あと特に若めの選手に対する女性の金切り声も地方大会の倍以上響いてたと思います。
近くの女性もずっと「いーびる!ねえ!いーびる!」
ずっと枡席からEVILに話しかけていました。
EVIL推しなのは伝わりました。
だんだん熱が加速してきて「殺せー!(え?)」とか「イケ!ヤれ!」しまいには真後ろのおじさんが「おれを楽しませてくれー!」とずっと叫んでいてもはや一体なんの応援?と思わざるを得ない状況。
私と内藤コスプレのお姉さんは一言も発せず、静かに観戦していました。
12日は東京についてすぐ会場入りしたので疲れてぼーっとしてたことも多々あったのですが、オスプレイと内藤さんの試合はかなり盛り上がりました。こういう試合は、テレビよりも生でみた方が盛り上がるし、絶対に面白い。
もうオスプレイの動きってテレビより生で見る方が絶対に感動するんですよね。
動きが早くて漫画みたいだし、正確に技をきめるし、強い!
オスプレイは華があるし、本当にスーパースターだということがわかります。
私の中では今年はオスプレイが絶対優勝して、新日を卒業するというストーリーがあったので、まさか死闘の末負けるとは思わず、この時だけは小さく声が出ました。
隣のお姉さんはこの時も静かでした。
13日の決勝戦で泣く
あの狭い枡の中に四人で座るというのが億劫すぎてすごく心配でした。
入ってみたら男性全員がえ、女?お前一人?という戸惑いを一瞬感じました(笑)
この反応、試合に一人で観戦する度に何となくいつも隣の男性からそういう視線を感じます。ラーメン屋に女一人で入ってきた時の男性の反応に似ている。
男の聖域にメスが入ってきた、といいたげ一瞬の反応。
ちなみに一部のプ女子さんたちは男に話しかけられるのがウザいらしいのですが、私の場合は残念ながら一切声をかけられたことはなく、お互いにお互いの推しを叫んでまた日常に戻る日々。
話を戻すと、どうやら三人は知り合い同士?のようでした。
前の人が男性だと見えないと聞いてましたが思ったよりリングは確認できました。ただやっぱりだんだん居心地が悪くなってきて、途中からトイレに行くついでにうしろの方で立ち見でみたりしてました。(何人か似たような人がいた)
枡席はかなりの数が空いてたのでもうそこに座っちゃってもバレないじゃんと思いましたがちゃんとルールを守るのは日本人だな。
決勝戦はオカダ・内藤と新日本ファンの間では、かなりの人気というのは承知なのですがどちらも特に好きというわけではなく、どちらかというと昨年活躍が少なかった内藤さんに勝って欲しいなと思ってました。
この時ホルモンバランスが乱れてたせいもあり内藤さんの優勝、デハポン締めに感動して泣いてしまい隣の男性がびっくりしてました。
内藤さんの「主役は俺だ」発言はなんか重みがあってにわかな私でも伝わるものがありました。
DDTをはしごする
その後、後楽園でDDTの試合があるのを知っていたのでまさかのDDTはしごをしてみました。
別に行かなくてもよかったのに、なんとなく、試合のあと一人でいるのが嫌で、行ってしまいました。
合計時間1日6時間プロレスをみたことになります。なかなかイカれてますね。
プロレスを見た後のあの帰り道の夜って、特に一人だと、祭りが終わってしまった寂しさがつきまとうんですがその時はなんとなく一人で夜を過ごすのがいやだったんですよね。
あの決勝戦の熱気と死闘のあとのくだらない、バカな試合が目の前で繰り広げられる光景。ゲラゲラ笑う観客の対比がすごかった。
DDTはみててホッとする。
まさかG1の決勝戦を見てDDTに来るイカれたやつは私しかいないだろうなと思います。
今回両国観戦の感想ですが、両国での観戦は今後は別に行かなくていいかな。
もちろん雰囲気とかはすごくいいんですけど。
前の方のチケットが25000円と謎に高いし、枡席もそこまで居心地がいいわけでもないし、選手も遠くて見えずらい。
まあもしまた行く機会があれば、2階席で見ると思います。
地方大会か後楽園で前の方の席を取ってみた方がいいかな、と思ったのが感想でした。
次回は神戸大会に参戦します。
外国人レスラーと日本語レッスン。棚ぼた的に夢が叶ってしまった話
私は昨年の夏からプロレスを見るようになった。
ハマって以来、数ヶ月に1回、1人会場に乗り込み、ぽっちゃり体型の男が多いプロレスファンの中で、BBAが声を枯らして叫ぶ生活を送るようになった。
プロレスファンというと周りの反応はたいてい無関心なのだが、会場に行くと、老若男女、若いギャルから乳飲み子までいたりする。
だんだん見始めて行くと、「推し」というものができてきて、彼らのインスタやTwitterをフォローしたり、投稿をみたらいいね、を押すのが日課となっていた。
私のインスタのフィードはほぼムキムキ男か、アルゴリズムが「お前こんなん好きだろ?」と引っ張り出してきた巨乳の美女たち、ステーキや焼き肉などの肉の塊で埋め尽くされている。
ほぼ肉と肉欲だ。
完全にインスタのアルゴリズムは私のことを大食い・金髪巨乳好き・プロレス好きのアラフォー男と勘違いしている。
私は団体問わずプロレスラーと呼ばれる人はだいたいフォローするようになっており、とりあえず投稿がおもしろかったらスタンプやいいねを押してる。
ある時、滅多に光らない私のインスタに、1通のDMがきていた。
あるときDMがきた
開いてみると、フォローはしたものの、よく知らないプロレスラーから
「日本語教えて!」とメッセージがきていた。
なんで私が日本語教えてるとわかったんだ・・?と思ったが私のインスタ名に日本語教師がついているので、相手も私が先生だと思った様子。
私の中でプロレスラーはもはやお笑い芸人の次に尊敬する職業人となっていたので、困惑したと同時に正直めちゃめちゃ興奮した。
相手の知名度なんてどうでもいい。
ネットで調べてみると、わりかし女性ファンもしっかりいて、中には独占欲強めな人たちもいた。
私の中でプロレスラーは銀幕のスターと同じだ。
もしかしたら彼氏になるかもとか私のもの、と自分ごとに考えられる彼女たちには少し恐怖を覚えた。
触るなんて恐れ多い。
この人たちからしたら、このレスラーが頼めば何でもしてあげるだろう。
それがなんで..全く教師として売れていない、影響力も何もない私にメッセージしてきたのか。まあ遊び相手を探してるとか、何かの冗談だろう、と思い、メッセージにいいねだけ押してスルーした。
数時間後、さらにメッセージがきていた。
「金払うから教えろ!」
ときてたのでお?これはもしかしたらイケるのか?と思い恐る恐る返信してみることに。
質問事項としては、日本語を勉強したことがあるのか、文字が読めるのか、どんな日本語を勉強したいのか、など質問をしたところ、また数時間後返事がきていた。
文字は読めない、日本語ちょっと知ってる、テキストは必要、週2、3回くらいやりたい。
文字が読めない人に教えたことがないのでちょっとプレッシャーだったが、プロレスラーに教えるなんて私にとっては夢みたいなこと。
何よりもやってみたい!という気持ちが優っていた。
しかしこの人・・・自分からレッスンしたいと言っておいて全然アクションを起こさないのが気になった。
2、3日後、私から「よかったらトライアルレッスンしますよ」と言うとやろう!という話になるのだが、肝心の日程を押さえようとすると返事が途絶える。
この時点で、「なに、こいつ・・?」
不信感がだんだん湧いてイライラしていた。
正直やりたいと言ったのは相手だし、私は一切なんのアピールもしていない。
私がプロレス好きなの知っててナメてる?一体どういうこと?
それからの1週間はまるでマンネリカップルのような、連絡をよこさない彼氏を待つかのように、インスタを開いては閉じ、の日々を過ごすのに本当に嫌気がさした。
昭和の歌詞のように待つ女にはなれない。私は待つのが嫌いだ。
だんだん、私の中でそのレスラーはクソ野郎と化していた。
来週の何曜日かやっと決まったと思ったら、時間を聞くとまた2日ほど放置され、時間が決まったのがトライアルの前日の夕方。
翌朝にZoomのリンクを送ると即既読になった。相手のこの勝手さにちょっと引いた。
若干うんざり気味だったが、レスラーだし、個人契約でお金が入る大チャンスと思って割り切ろうとした。
しかし不安は募るばかりだ。
相手がムキムキ外国人以外どんな人かもわからないし、(印象はこの時点でかなり悪いが)
ゼロ初級者だから、自分が英語で全てリードしないといけない。英語話者相手に。これはプレッシャーだ。
あとは、申し訳ないが欧米人の初級者を教えた経験があまりないのでとにかく当日を迎えるのが怖かった。
英語で全て説明できる自信がなかったので、英語のスクリプトを作り、とりあえず読みながら自分でも流れを確認するが、声が震えて蚊が鳴くような細い声になっていた。情けない。
この1週間いろいろな感情がぐちゃぐちゃになっていたこともあり、なかなか寝付けなかった。相手がレスラーじゃなかったらこんなふうにならなかったのに。なんか悔しい。
レッスン当日
じつはこの日、この人以外にもトライアルがたまたま2件入っており、いつもより余計緊張し、人疲れしていた。
やっぱり知らない人と話すのは教える側だって毎回緊張する。
そしてとうとう、プロレスラーとの約束の時間になった。
ちゃんと時間通りに現れるのか不安もあったが、リングネームの人物からZOOMに入室があった。
トントン!というZOOMのあの通知音を聞いた時、ぎゃっ!と咄嗟に小さく叫んだ。
いよいよ、相手が現れる!もうどうとでもなれ!いくぞ!おらー!
レスラー、死んだ目で現れる
音声がなかなかつながらず、1分ほど待ったのち、レスラーは現れた。
おお、映像で見たあの人。
ただ目が死んでいる・・。
お時間ありがとうございます、と言ったところむこうもおお、ありがとう、と。
明らかにだるそうだし眠そうだったのでおもわず「今眠いですか?」と聞いてしまったところ、”Always.”と堂々と一言返ってきた。どうやら毎日昼まで寝てるらしい。30代半ばで、昼まで寝てるってよく堂々と言えたな。
プロレスラー的には、期待を裏切らないとでも言えるのか?
じゃあまずはお互い自己紹介をしてからレッスンをするので、簡単に自己紹介をお願いします、とふってみた。(もちろん英語で)
あープロレスラーで、〇〇(その人の出身国)からきて、日本でもたまにプロレスやってる・・。
・・・・・。
え?それだけ?!
思った以上に喋らないのでこちらも緊張してくる。
流石に短すぎるので、
「えっと〜趣味とか休日何してるんですか?」と聞いたところ
「あージムとか温泉とか〜(なんか色々言ってたけど忘れた)」と、だるそうに回答。
気まずいまま、私も自己紹介をした。
何人かプロレスファンの生徒がいる、ということと、1人旅が好きってところだけには反応を示してくれ、どこがよかった?と質問されたのでインドと答えたところ、全くと言っていいほど反応が薄かった。
俺は今までどこどこに行った、といろんな国を挙げていたが、プロレスの遠征とプライベートでかなりいろんなところに行った感じだった。
それからテキストを提案して、どれくらい本気なのか確認する。
どうやら本気というよりかは最低限の会話ができたらいい、ような感じだった。
「俺は歳だし、Fucking頭が悪いし(みたなことを言ってた)、自分1人では勉強できねーんだ。だから誰かの助けが必要なんだ。なんたらかんたら」言い訳してた。
初対面の相手(素人)にナチュラルにファックを言ってたのにもびっくりした。
今もヒールを演じてるのか?この人。
それでも緊張してたのであんまり相手の言ってることに反応する余裕はなかった。
とりあえず気を取り直して日本語の自己紹介からスタート。
ゼロ初級の場合、
私は(名前)です。
(国籍)人です。
(職業)です。
よろしくお願いします。
から始まる。
この人の場合、職業がプロレスラーなので、カタカナのプロレスラーを言ってもらうが口が回らず「プルレスロー」とかなかなか苦戦。
そう、プロレスラーって、外国人が苦手な日本語の”ら行”満載の単語なのだ。
日本語のR発音はこうだよ、と手で上顎と舌を作り、示しながら、らりるれろを言わせる。
ちょっとこのときは「ああ〜私プロレスラーに日本語教えてるーー!」って若干興奮した。
知ってる日本語が下ネタ
それにしても、この人全然笑わない。
声もずっと低いし、目に覇気がないし人間味を感じない。人でなし感が漂う。
でもファンの間では優しい人ということになっているらしい。
目の前のこの姿をファンはどう思うだろうか。
ああ、やりにくいと思いながらも、次はあいうえお、を教えてみる。
私も文字を知らない人をおしえるのが初めてなのでどんなもんかわからず緊張。
この時、アイパッドを接続したりとちょっと待ってもらってる間に、ちょっとした雑談で、知ってる日本語ってなんですか?と聞いてみたところ、第一声が
小さいチ○チ○。
イケボな低い声で下ネタ・・。
その瞬間え、下ネタ?と言いそうになったが、余裕がないので愛想笑いで終わった。
もしかしたら笑わそうとしたのかもしれないが、ふつうに変態発言。
私、髪はベリーショートだけど、一応女なんですけど。
あとは知ってる単語も、プロレスの現場で聞くような罵り言葉とか、くだらないものばかりで「はあ」としか反応できなかった。ちょっと日本語知ってるって言ってたけどほぼ知らないに近かった。
あいうえおを教えるも・・
まずはあいうえお、は母音ですよ。他の音は母音と子音を合わせたコンビの音なんですよ。から説明。
私はサイレントウェイという手法でこのあいうえお、を試してみた。
ちなみに本当に初めてでやったことはない。
最初からローマ字を使って教えるのではなくて、教師はできるだけ喋らずに、ヒントを出しながら、学生は文字をみて、推測して自分の頭で考えて答える手法。
あいうえお、をやっている途中でレスラーが突然中断。
「あいうえお、の音はわかるんだけど、文字がなんでこうなのかがわからない。」などと言い出し、自分が持ってるローマ字入りの50音表を勝手に出してきた。
音と文字が頭の中でつながっていないのはわかるけど・・。
「最初はローマ字をみてもいいけど、英語と日本語の発音は全然違いますから、日本語の音を覚えてください」と説明。
それでも、え、の音をローマ字のeを見て「い」と読み出し、これは「え」ですよ〜と説明。話聞いてる?笑。
そしたらまた途中から「”え”、と”お”が同じに見える。」と言い出したので、「似てるけど同じじゃないです、とにかく書いて覚えてください。」と説明。
正直、30分のトライアルがこんなに長いと思う日は初めてだった。
クロージングは英語で自分でも何を言っているのかわからなくなっていたがなんとか終わりに近づいた。
そのときレスラーから言われたのは”You, made it.”か"You nailed it"のどっちか。朦朧としてたのではっきり覚えてない。
とりあえずよくやった的な、褒められたのか?と思い「はあ、ありがとうございます」とだけ言った。
のちにプヲタ生徒さんに聞いたところ、made itの場合、ドライジョークと言われるもので、「お前、よく耐えたな」って皮肉で言ったんじゃないかとのこと。
確かにこんな一切笑わない態度悪い人によく耐えたわ。まあ、もしやりたいんだったら連絡くださいと言ったところ、やる気はあるようで、金も払うと言ってた。
内心ガッツポーズだったが、1週間経った今、なんの音沙汰もない。
その代わり数日前、なぜか今Vowels(母音)とカ行を覚えている、とだけ連絡がきた。
学習状況はいいから、金は?
やるやる詐欺かよ・・いい加減にしてくれ。
とりあえず・・仕事に繋がらなかったのかもしれないが、レスラーに日本語を教えるというちょっとした夢は叶った。
彼を教えていて気づいたのは、日本人が当たり前に読めるひらがなを覚えるということだけでも欧米系の人たちにとっては本当に大変な労力がかかるということ。
彼らにはひらがなは本当に難解な文字にしか見えないのだ。
しかも日本語の場合、文字を覚えないと、会話練習に進めない。
ひらがな、かたかな、漢字という3大文字を覚えるというタスクは、大人になればなるほど面倒で大きいタスクだ。
彼はあいうえおの時点で挫折しかけていた(ように見えた)ので、正直諦めずに続けていると連絡がきたのは少しほっとした。
あとは、教えていて、やっぱり中級から上級の生徒の会話練習よりも、ゼロから上に伸ばしてあげたり、サポートしたりする方が好きだなという気づきを得られた。
変な人を興味の対象として面白がってしまうのが私の悪い癖で、ニヤニヤしながら一部の英語の先生や周りにこの話をしたところ、みんな彼の態度にはドン引きしていた。え、何その人意味わかんない。普通に失礼じゃない?と真顔で返された。
正直、彼の態度は社会人として良くないし、10代の子とレッスンしていた気分だった。
演じてたのかあれが素だったのか・・私はちょっと警戒されて演技が入ってたんじゃないかと思う。素だとしたら変わった人だと思う。
彼が生徒になってくれたら苦労もしそうだし、なんか面白そうな気もすると懲りてないのが私もタチが悪い。
とりあえずこの人は自分で何かを決めるのに、かなりのめんどくさがりっぽいので期待せずに・・でもやっぱりちょっと期待して数%の希望にかけようと思う。
レスラーに教えるのはいいが、ちょっと一癖も二癖もある人がくるあたり、私はある意味、持ってるなぁ、と思う。
いや、本当、あの人なんで日本語勉強したいんだろう?
もし次会える機会があったら、最後に笑ったのはいつか聞いてみたい。